県議時代の活動〜子育て立県・兵庫
     (育児・子育て・初等中等教育・障がい児教育)

 

トップページに戻る1 子育て支援の経済的施策展開について
(第286回定例会:H18・2・28)

2 発達障がい児をめぐる問題
(第286回定例会:H18・2・28)

3 発達障がい児全県調査について
(予算特別委員会:H18・3・15)

4 中学における学校給食の普及と県の支援体制
(予算特別委員会:H18・3・15)

5 保育所徴収金基準額表について
(決算特別委員会:H18・12・7)

6 家族再生支援プログラムについて
(決算特別委員会:H18・12・7)

7 里親制度について(決算特別委員会:H18・12・7)

8 学童保育について(決算特別委員会:H18・12・7)

9 特別支援教育における地域格差と情報伝達の方法等について
(決算特別委員会:H18・12・16)

10 「支援を必要とする子どもたち」に対応できる体制について
(決算特別委員会:H18・12・16)

11 「未履修問題」への対応について
(決算特別委員会:H18・12・16)

12 指導力に優れた教員の確保・育成等について
(決算特別委員会:H18・12・16)

13 「道徳教育」について
(決算特別委員会:H18・12・16)

14 民法772条に関する無戸籍児への対応について
(定例会:H19・6・26)

15 児童養護施設と里親制度に関する現状と対策について
(定例会:H19・6・26)

16 中学校における学校給食の推進について
(定例会:H19・6・26)


1 子育て支援の経済的施策展開について(第286回定例会:H18・2・28)

(井戸まさえ)

 ひょうご・県民連合の井戸まさえです。

 昨年7月に行われました神戸市東灘区再選挙において当選以来、3回目の議会です。議場でのやりとりを聞きながら、いつもある思いが込み上げてまいります。それは、この議場でどんなに有効な施策が生まれたとしても、それらを全く受けられない人々や子供たちがこの国には、そして本県にもいるという現実に対しての使命感です。

 例えば戸籍のない子供たちの存在。カンヌ映画祭で主演男優賞を受賞した映画「誰も知らない」をごらんになった方もいると思いますが、生殖技術の向上、また離婚、再婚、DV被害等、彼らの親が置かれたさまざまな状況に対して、制定時に想定しなかったがゆえに対応できていない法律が大きな壁となって、この世に確かに生をうけながらも、彼らはだれも知らない存在となり、市民として当然対象となるべき福祉を受けとることができません。

 実は私の4番目の子供もそうでした。法に従い結婚をし、離婚をし、再婚をしたというのに、民法第772条2項によって出生届は受け入れられず、裁判確定までの丸1年間、彼は行政上この世にはいない者として生きるしかありませんでした。法の矛盾のはざまの中で感じる苦しみ、また将来に対しての不安は、今でも言葉であらわすことはできません。

 しかし、その暗やみの中で、私たち親子は一本の光を見出しました。地方分権一括法です。国の施策に対し条例制定権や訴訟権も保障したこの法を根拠に裁判を闘い、地方自治の視点から物を言うことで、画期的勝訴、判例をかち取ることができました。子供を産んだのは私ですが、彼に市民としての命を与えたのは、まさに地方自治の存在だったのです。

 本日は、身をもって地方自治の役割と可能性を体感した者として、そうした地方自治本来の持つ機能をいかに施策に反映していくかについて質問をさせていただきます。

 

 まず、地方自治体の独自性の担保という視点から、子育ての経済的支援施策についてお伺いいたします。

 子育て支援の経済的施策といえば、出生率を回復したフランスの例がよく用いられます。フランスでは「世帯」が課税単位で、夫婦または世帯全体の合計所得を構成人数で割る「N分N乗方式」といった計算式を用い、家族の人数を考慮に入れた1人当たりの所得、いわゆる可処分所得を中心に置いた税体系を持っています。つまり、結婚もしくは同棲し、子供を多く産んだ方が有利になるという家族政策が税制上も一貫性を持って行われているという特徴を持っているのです。

 一方、日本の場合、所得税、住民税の課税は「個人」単位で行われます。子育て支援の経済的施策としては「扶養控除」が挙げられますが、その額は、所得税における所得控除では子供1人当たり年間38万円、少子化社会白書で明らかにされた0から5歳の1人当たりの育児費用年間87万円に遠く及ばないものであり、16歳から22歳に配慮がされているとはいえ、子供を産めば産むほど負担感は大きくなっています。子供を産み育てることについての経済的支援の要請が高まっており、税制面でもそれにどのようにこたえていくかが、税制調査会でも重要課題として指摘されているところでございます。

 扶養控除自体は、昭和40年代には毎年1万円から2万円前後の増加があったものの、最近では、平成7年の見直し以来、10年間変わらず38万円となっています。また、そもそもこの38万円という額は、財務省に確認したところ、物価スライド方式等の特別な計算式や裏づけがあるわけではなく、時の政府の方針としか言いようがないという、何とも心もとない数字なのです。

 私がこの扶養控除にこだわるのには大きな理由があります。あくまで個人の所得控除の一つである「扶養控除」が、もう一つの子育て支援の柱、「世帯」単位で申請する「児童手当」の基準ともなっており、県が行う施策にも大きな影響を与えているからです。

 例えば、県の乳幼児医療費助成制度には所得制限があります。この額は、サラリーマンを対象とする「児童手当の特例給付に準ずる」という形です。また、県は、この議会に妊婦健康診査費補助事業という新たな予算を組んでおりますが、これもまた所得制限があり、その要件は同じく「児童手当の特例給付に準ずる」。事ほどさように、国が定めた「児童手当」がもらえないということは、県単独の施策による支援がほとんど得られないことにもなります。

 もちろん、市町によっては所得要件を外すなど独自に援助を行い、その補完をしていることは十分承知しておりますが、私が本日あえて問いたいのは、少子対策を最重要課題に掲げ、また第2子以降の徴収金の軽減等、保育料基準額の設定の適正化について国に対して申し入れもしている県が、「児童手当に準ずる」という形でそれを基準として施策展開していること自体に関してです。

 ここに厳しい数字があります。平成15年度の兵庫県の中絶件数です。総数は1万1,666人。最も中絶をしている年齢層は30から34歳、何と10代の2倍の数となっています。30から34歳は、多くの研究者が指摘しているように、晩婚傾向の中で最も出産を期待されるキャッチアップ世代です。その世代がなぜ中絶を選択するのか。人口問題研究所の出生動向基本調査によれば、既婚者の26.5%が中絶経験者で、家庭を築いている女性でも、第3子妊娠時に12.5%、第4子に至っては実に28.5%が中絶に至っています。多くは「経済的理由」という現実は、今行われている子育て支援の経済的施策を少しでも実態に合ったものにしてほしいという切実な叫びだと受けとらなければいけないのではないでしょうか。

 子供の数にも対応した子育て支援の新しいスタンダードをつくり出していくことは、地方の独自性・自主性の担保となるとともに、国への問題提起や政策誘導にもなり得ることを十分認識した上で、こうした「基準」を点検していく作業の必要性・有効性も含め、今後の子育て支援の経済施策展開について、ご所見を伺います。

(井戸知事答弁)

 ひょうご・県民連合の井戸まさえ議員のご質問に井戸からお答え申し上げます。

 まず、子育てへの経済的支援施策についてです。

 子育てに係る扶養費用を経済的負担ととらえるのか、不可欠な必要経費ととらえるのかによって、それに対する対応が異なることがあると考えます。

 ご指摘のように、我が国の個人所得税においては、課税単位を個人とした上で、家族構成など個々人の生活上の事情を納税者の担税力の減殺要因と見て、さまざまな人的控除を設定していますが、これは必要経費的な考え方ではないか、このように考えています。

 なお、フランスが「N分N乗方式」をとっているのは、その税率構造が、600万円台で最高税率の48%に達する6段階の急な累進構造を持っているからであろうと思います。日本の場合は、同水準では2段階、10%、20%の二つです。急激な累進構造を持っている場合に有効な方式が「N分N乗方式」と私自身は理解をしているところです。

 さらに、子育てについて一歩踏み込んで、経済的負担の軽減という政策的な支援を行うかどうか、今後の検討であろうと思いますが、この場合には、財政的支援という意味合いが強い税額控除という形態をとることも考えられると思います。いずれにしても、これからの検討課題だと存じます。

 児童手当や乳幼児医療費助成制度などでの所得制限については、給付を行う必要性や効用が比較的少ないと考えられる所得階層の方までは手当を支給しないとされているもので、まさしく経済的負担を軽減するという政策目的と財政負担の効果や公平性からとられている措置だと考えます。

 いずれにしても、子育ての大切さから、社会全体で子育てを担う責任があるとの認識から、経済的負担の軽減について、その必要性、有効性を十分に検証しながら、県独自の施策展開にも積極的に取り組むとともに、必要に応じて国への提言なども行ってまいります。

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2 発達障がい児をめぐる問題(第286回定例会:H18・2・28)

(井戸まさえ)

 発達障がい児をめぐる問題についてお伺いいたします。

 この10年間、子供たちの育ちをめぐる環境の中で最も進歩した分野が、いわゆる高機能自閉症、アスペルガー症候群、ADHD、LDといった軽度発達障がいの分野です。主に心の問題だとされていた自閉症も、脳神経の分野が深くかかわっていることがわかるなど、その医学的進歩は目覚ましいものがあり、また、支援プログラム等の研究も広がっています。

 平成16年には発達障がい者支援法が成立したものの、その進歩の受け皿となるべき療育体制はいまだ十分整備されていないがゆえに、適切な療育を受ける機会を持たない子供たちが相当数いると推測されるのが現状です。私の子供の1人は、昨年、アスペルガー症候群の疑いがあると診断されました。診断に至るまでの過程は、この問題に行政がどうかかわっているのかを見る大きな機会ともなりました。こうした視点から、本日は質問をさせていただきます。

 まず1点目は、乳幼児健診についてです。

 軽度発達障がいには、早期発見・早期療育が有効と言われており、県では、1歳6ヵ月健診、3歳児健診を充実・強化するため、乳幼児集団健康診査マニュアルを改訂し、健康増進課から近く発行されると聞いております。

 早期発見が大事であることは言うまでもありませんが、実際に乳幼児健診の場に行くと、まず最も考えなければいけない一つは、親への情報提供だという思いを強くいたします。日々、育児で格闘している親たちは、「障がいかも」と気がついても、愛情ゆえになかなか認めることができません。同時に行われている内科や歯科と違って、問診はオープンスペースで行われるため、結果はほかの親御さんに知られることもかなりのプレッシャーになります。プライバシーへの一定の配慮は必要かと思いますが、いかがでしょうか。

 親がこの障がいを受け入れるには、それなりの時間が必要です。子供を産む前の段階、妊娠中から、この障がいを持つ子供が生まれる可能性があること、また、早期発見をすれば行動は改善する可能性が高いこと、だからこそ1歳6ヵ月健診、3歳児健診のときまで家庭でよく観察をしてほしいということを、行政主催の「両親教室」や産婦人科での「マザーリングクラス」等での指導の中で伝えていくべきだと思います。健診を行う専門家だけでなく、親の方からの気づきを促すこと、それが乳幼児健診での早期発見により効果を上げることとなると思います。

 そこで、こうした妊娠中からの指導を含め、乳幼児健診の改善にどう取り組まれるのか、ご所見を伺います。

 続いて、発達障がい者支援センターの展開についてお伺いします。

 兵庫県は、昨年、「発達障がい者支援センタークローバー」に加え、ブランチを2ヵ所開所し、合計8名体制で相談等に当たっています。しかし、間接支援の場とも直接支援の場ともなる支援センターは、通常の発達障がい者の相談業務に、こども家庭センターの部門外となる18歳以上の発達障がい者の相談援助なども加わり、手いっぱいと聞いています。現在の体制でふえ続ける需要に対応していけるのか、強化策はどのようにお考えでしょうか。

 単独で療育の体制がとれない上、ブランチへ通うことが難しい地域に住む子供たちへの対応も含めて、支援センターの今後の展開について、ご所見を伺います。  次は、専門医の育成と拠点病院の必要性についてです。

 児童精神を診ることができる専門医の不足は、全国的にも大きな問題とされています。支援センターから医療機関やこども家庭センターを紹介されたとしても、診断の予約待ちが半年待ち、1年待ちという現状は、早期に解決しなければならない課題だと思いますが、何しろこの分野の権威である医師の話によると、兵庫県下で正確に診断ができる医師は10人程度と言われる状態では、いかんともしがたいのが現実です。

 私は、乳幼児健診で早期発見に力を入れるのと同様に、こうした診断のできる医師の確保・育成に県はもっと真剣に取り組まなければならないと思います。神戸大学の児童精神科医によれば、児童精神科の専門医の育成は、ふだんはほかの疾患を診ている小児科医を研修させたり、成人を診ている精神科医を研修させて促成栽培できるようなものではないそうです。だからこそ、将来を見据えた計画性が求められます。

 他府県では、例えば大阪府は大阪精神医療センター松心園、三重県は小児心身センターあすなろ学園、そのほか島根県などが、古くから児童精神科の入院治療に加えて外来診察を行ってきています。また、香川県小児医療センターにも児童精神科があり、岡山県では、来春、県立岡山病院に児童精神科を新設いたします。

 こうした病院は研修病院としての機能もあって、若い医師たちに経験を積ませることを通じて児童精神科医を養成してきた実績があります。兵庫県でも同様な取り組みをする必要があるのではないでしょうか。

 思春期の人たちの入院を受け入れている県立光風病院や、また県立こども病院など、特定の医療機関に治療や療育などに加えて支援センター機能を集約した拠点をつくり、診断や治療はもとより、若手医師を初めとして、地域の保健師や心理士、言語聴覚士などの教育が行われ、被虐待児の治療についても、こころのケアセンターやこども家庭センターと連携して携われるようなしっかりとした体制をとることができれば、専門医の育成とともに、療育に大きな力が発揮できるのではないかと思います。

 そこで、こうした専門医の育成及び拠点病院の必要性について、ご所見を伺います。

 学校教育現場での対応についてお伺いいたします。

 兵庫教育大学の井上雅彦助教授は、発達障がい児に最も大切な時期は、義務教育ではカバーできない幼児期と、義務教育を終えて社会に出るまで、つまり高等学校であると指摘しています。せっかく小中学校で適切なケアを受けてきても、高等学校で分断されてしまう。小中学校での療育情報を引き継ぎ、適切な配慮を受けられれば、不登校や中退など関連性が指摘される二次的被害に至らずに済む例は少なくないということです。

 しかし、高校現場での発達障がい児に対する意識は決して高いものではありません。我が県から兵庫教育大学大学院に派遣されていた竹中正彦先生の研究によれば、県内の公立高校203学級の担任に、受け持ちの生徒7,308人を対象にスクリーニングチェックをしてもらったところ、発達障がいと思われる高校生は1.79%の割合との結果が出ています。つまり3クラスに2人ずつそうした高校生たちは存在するということです。

 この研究の中では、もう一つ重要な点が明らかにされています。このスクリーニングされたパーセンテージは、特別支援教育や発達障がいに関する研修を受けた担任か、受けなかった担任かで比較したところ、研修を受けた担任では4.4%、研修を受けていない担任が上げた割合1.4%の実に3.1倍であったということです。この数字をもとにすれば、1クラスに二、三人の割合となります。つまりこれは、先生側に知識があれば、より多くの生徒がスクリーニングにかかり、適切な指導を受けられる可能性があることを意味しています。しかし、高校教員の特別支援教育関連の研修会への参加比率は少なく、8割は研修の機会があっても参加していない現実があります。

 平成19年度から、小中学校では学内に1人特別支援教育コーディネーターが指名されることになります。  そこで、彼らを核とした全校的な取り組み、また小・中・高校が連携を保つための方策等、すそ野を広げていく取り組みについてどう展開していくのか、ご所見を伺います。

(下野健康生活部長答弁)

 私から、発達障がい児対策についての中で、三つのお尋ねにお答えをいたします。

 まず1点目は、乳幼児健診についてのお尋ねであります。

 乳幼児健康診査は、子供の健康状態を把握した上で、子供の発育・発達に応じた健康支援を行うために実施しているものでありますが、その中で発達障害児の早期発見と適切な療育指導につないでいくということは、大事な機会だというふうに考えています。

 そのために、今年度中に、発達障がい児の早期発見のための乳幼児健康診査マニュアルの改訂と、医師、保健師等健診従事者約300人を対象に専門研修会を実施をいたしまして、乳幼児健診の際の発達障害の早期発見のための健診の充実を図ることといたしています。

 健診に際しては、問診や個別指導においてプライバシーに十分配慮するということは当然のことでありまして、保護者の気持ちを受けとめ、安心して相談できる場を設定するよう、マニュアル改訂の研修にあわせまして、健診の実施主体であります市町を指導してまいります。

 また、母子健康手帳を活用いたしまして、妊婦健康相談、両親学級、育児教室などの機会に、子供の心身の発育・発達や病気・障害についての情報提供をいたしますとともに、18年度から実施をいたします保育所等の巡回相談、また新たに設置予定の発達障がい児早期支援検討会などを通じまして、関係機関と十分な連携を図り、発達障がい児に対する県民の理解促進にも努めてまいりたいと考えています。

 次に、発達障がい者支援センターの展開についてのお尋ねであります。

 発達障がい者支援センターは、一つには、発達障がい者及びその家族に対する専門的な相談・助言、二つには、発達支援及び就労支援、また三つ目には、関係機関の従事者に対する情報提供や研修を行う機関として、平成15年12月に設置して以降、相談・発達支援件数が大幅に増加してまいりました。

 このような需要にこたえるために、本県におきましては、全国に先駆けまして専門的な相談・助言を主として行う2ヵ所のブランチを県単独事業で設置するなど、先進的な取り組みを進めています。また、発達障がい者が身近な地域で支援が受けられるよう、発達障がい者支援センターやこども家庭センターと緊密な連携を図りながら、教職員、保健師、保育士、福祉施設職員の理解を深め、支援方法を習得するための研修を実施しております。来年度におきましては、市町職員を対象に加えるなど、養成研修の充実を図りたいと考えています。

 今後、発達障がい者支援センターの設置に当たりましては、専門的な相談・支援が行える人材と施設の養成を図りまして、県政推進重点プログラム50にも掲げておりますが、着実に増設の努力を進めてまいりたいと考えています。

 次に、専門医の育成と拠点病院の必要性についてのお尋ねであります。

 発達障がいの診断は、児童の発達段階で生じる個人差が障害に起因するものか否かを見きわめる必要があるなど、専門性が高く、極めて難しいと言われておりまして、全国的にも診断できる専門医は余り多くありません。

 本県におきましては、27ヵ所の医療機関で発達障がいの診断が行われておりますが、こども家庭センターや発達障がい者支援センター等におきまして、個々のニーズに応じて適切な医療機関を紹介しているという現状にあります。

 現在、国におきましては、委員会を設置をいたしまして、子供の心の発達に関する研修を受けている小児科医、精神科医の割合を5年間で100%とする目標を掲げて、一般の小児科医、精神科医への研修、子供の心の診療を専門とする小児科医、精神科医の養成等について検討が進められています。平成18年3月にも報告がまとめられると承知をいたしております。

 県におきましては、児童精神の分野につきまして専門的対応を行うために、光風病院に児童精神科の設置の取り組みを進めることといたしております一方、来年度、児童精神科医の参画を得て、地域の医師を対象に研修を実施するほか、こども家庭センターの判定体制の強化と専門機関への接続や巡回相談の実施など、療育支援を強化することとしています。

 ご提案の発達障がい児の医療機能と療育機能の連携によります拠点整備のあり方については、今後検討すべき課題であるというふうに考えています。

(吉本教育長答弁)

  私から、発達障がい児対策のうち、学校教育の現場での対応についてご答弁申し上げます。

 議員のご指摘にもございましたように、LD、ADHD等の児童生徒に対します支援を適切に行いますためには、中心となる教員の養成を行いますとともに、小・中・高等学校間の連携を図るなど、一貫した支援体制を構築することが重要でございます。

 このため、小・中・高等学校の教員を対象に、中心的役割を担う特別支援教育コーディネーターの養成や教職員の理解・啓発を図るための研修を行いますとともに、義務教育であります小中学校のコーディネーターを校務分掌へ明確に位置づけるなど、支援体制の整備を平成19年度をめどに進めることとしてございます。

 また、一貫した支援体制につきましては、現在、障がい児教育の在り方検討委員会におきまして、幼児期から学校卒業後までにわたります一人一人の教育支援計画を保護者の意向を踏まえて策定することや、小・中・高等学校を通じた学校間の連携を図りますため、高等学校におけます校内支援体制を整備すること等について論議をされておりまして、18年度にはその具体的な対応方策について検討を進めることといたしております。

 今後とも、障がいのある児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握いたしまして、適切な教育的支援に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくご支援のほどお願い申し上げます。

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3 発達障がい児全県調査について(予算特別委員会:H18・3・15)

(井戸まさえ)

 発達障がい児全県調査について伺いたい。

 私は、産業労働部の方で、ニートに関しての県独自の実態調査がないということに疑問を投げかけさせていただいた。今、子供たちの育ちをめぐる重要課題の一つには、ニートの問題だけではなくて、こうした学校における発達障がいを疑われる子供たちに対しての実態調査を行っていないことも大変気がかりである。県は、発達障がい児の数も、文部科学省調査の推定68万人、これを人口案分すると約2万8,000人から3万人となるが、その数はまさにニートと同じだけの数になっている。

 しかし、これはそれぞれの県独自に調査しないと、ほんとにこの2万8,000人という数なのかどうか、また、先ほどから「スクールアシスタント」の話もあるが、200人という数で足りるのか、それとも少ないのかというのは、この実態の数をきちんと把握しておかないと、そうした施策にも生かされないと思う。

 例えば、愛知県では、文科省が調査に使ったのと同じ基準で行った調査で2.48%と、全国平均の半分の数値となっていたり、また、埼玉県では、平成16年に県独自で抽出検査をして、その結果、知的におくれはないが、学習や行動に著しい困難を示す児童生徒が10.5%という全国平均の6.3%を上回る率で、そうしたことに悩んでいる子供たちが存在することがわかった。そこで、埼玉県は独自に、全国よりも1年先駆けて「特別支援教育コーディネーター」の指名を行っている。ほんとにその県、その県によって、結果の数字というのは違うので、ぜひとも全県調査というのは私は必要だと思う。

 この数字に関しては、一般質問のときにも、兵庫教育大学大学院の竹中先生の研究を用いて、「チェックをする先生がこの障がいに対して理解があれば、高い率を示す傾向がある」という相関性を指摘させていただいたが、そうしたきちんとした研修をした上で調査を行うことで、より正確にどういう支援が必要なのかが見えてくると思う。

 県では、就学前の子供たちに関しては、健康生活部で発達障がい児の早期発見に力を入れて、乳幼児検診でのチェック等の網目を細かくする、そうした努力をしてきているが、この障がいは軽度なだけに、学校に入って学習をするようになってから、より顕著になってくる場合も多くある。私は、乳幼児検診でスクリーニングに漏れた子供たちを救うためにも、就学前検診での発達障がい関連の診断というものも、将来的には必要となってくるとは思っているが、まずは小中学校に対しての全県調査を行って、教育の場においての発達障がい児の現状を知ることがより効果的な支援につながっていくと思うが、ご所見を伺う。

(細川障がい児教育室長)

 本県においては、国の実態調査を踏まえて、小中学校の通常の学級にLD、ADHD等、特別な教育的支援を必要とする児童生徒が存在しているとの認識に立って、これまで支援態勢づくりに取り組んできた。また、こうした子供たちに適切な支援を行うためには、教職員が一人一人の児童生徒の学習面あるいは行動面での困難さにまず気づくことが重要であるということから、LDやADHD等に関する基礎的な理解研修、あるいは「特別支援教育コーディネーター」研修などを現在計画的に進めてきている。

 発達障がい児に関する調査については、調査の目的や内容、その方法などによって調査結果が異なってくるという課題や、また、その結果が不用意にレッテルを張ってしまうことになるのではないかという懸念もある。このため、特別な教育的支援を必要とする児童生徒の全県的な調査については、児童生徒の実態に応じた適切な指導を行うことや、また、校内での支援態勢等を充実させていく観点から、他府県の実施状況なども参考にして、そのあり方について検討してまいりたいと考えているので、ご理解をお願いする。

(井戸まさえ)

 私がなぜこの実態調査が非常に必要だと思うというのは、私は、この兵庫県の中で引っ越しをした。中学校が変わったが、この実態調査がある学校とない学校では、全く特別支援教育に関しての内容が違う。今は本山中学に行っているが、ここではきちんと医師の診断がある生徒が3.0%、また、特別の支援や配慮が必要な子供が7.7%と、中学校の中できちんと調査をして、そして、その子供に合ったような指導をきちんとプログラムをつくるまでやっている。

 全くないところと、こうしたところがあって教育をしてくれるところで、子供が通ってて目に見えて変わってくるわけである。したがって、私は、先生方の意識づけという面からも、きちんと全県調査をやっていただいて、校内で援助が必要な子供たちがどのぐらいいるかというのをまずはわかっていただきたいと思う。ぜひともこれはやっていただきたいと、強く要望したいと思う。

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4 中学における学校給食の普及と県の支援体制
(予算特別委員会:H18・3・15)

(井戸まさえ)

 学校給食の普及と県の支援態勢についてお伺いをする。

 まず、中学校における給食費援助についてお伺いする。

 私には、中学校1年生から1歳まで5人の子供がいる。一番お金がかかるのが一番下の方の保育料が必要な子供たちで、月大体平均5万か6万かかる。この間計算をしたら、もう11年ぐらい保育園に通っているから、トータルすると1,500万ぐらい保育料で払っていることを知って愕然とした。なので、子供たちが小学校に上がると非常にほっとする、義務教育万歳と心から思うが、その考えが中学生の子供を持つようになって変わった。

 なぜならば、中学校はとにかくお金がかかる。入学時の制服代から指定のバッグ、また、今どき一般にはそうそう売っていない真っ白い靴まで、身なりにかかるものから、また、毎月5,000円を超える諸経費の引き落とし、その内容は、サブテキストの類と修学旅行積立金、神戸市の場合は、中学校は給食でないので、お弁当代が別途必要となる。そして、このお弁当代というものに非常に予想以上にお金が必要ということを実感して、給食費でかなり助かっていたということを実感するようになって、あることに気がついた。

 今、全国的にも就学援助の問題というのが取りざたされている。この就学援助に加えて、給食費の補助というものも行われているが、実は、お弁当の場合はもらうことができない。県内でも、自治体で中学校で給食を実施しているところには、就学援助とともに給食費補助がもらえるが、お弁当のところはもらえない。つまり、例えば西宮に住んでいる生徒たちはもらえるが、神戸、尼崎の子供たちはもらえないということが起こってくる。県のおつくりになった就学費援助受給率の表を見ると、尼崎で受給している方が28.64%、神戸が23.22%と、この二つの地域は県内で最も高くなっている。

 昔は、「お弁当づくりは親の愛情のあかし」と、給食を導入しない自治体もあったようであるが、愛情を示す目的ならば、毎日お弁当でなければならない必然性はそう高くなく、今は幼稚園でもお弁当と給食の併用や選択制が行われているのが当たり前となっている。また、後にも述べるが、栄養や食育の面から考えて、中学校でも全国の7割は給食となっている。しかし、兵庫県では4割、給食の未実施理由としては、主に自治体の財政状況によるところが大きくて、この数字は見逃してはいけないのではないかと思う。

 また、給食と違って、お弁当の内容というものは親の収入と比例しているのが普通、自然だと思う。「うちは由緒正しき貧乏人やで」と、私も胸を張って言いたいところであるが、お弁当づくりをしていると、おかずの寂しいお弁当を子供に持たせるという、この切なさはほんとに大きいものがある。また、教育の二極化が取りざたされる中で、子供たちは日々切実にそうしたことを感じているだろうことを思うと、今まさにお弁当をつくっている親としても、どうしても見過ごせない問題である。

 しかし、こうした最も必要とされる地域で実施されず、援助が受けられてない状況に対して、制度の公平な運用を求める面からも、県も何かしらの働きかけをするべきだと思うが、ご所見を伺う。

(高木体育保健課長)

 学校給食に要する経費のうち、食材費については、学校給食法に基づき保護者が負担するものとされているが、学校給食費の補助については、義務教育諸学校に通学する児童生徒の就学援助として、市町の規則等に基づき実施されている。このような中、委員ご指摘のとおり、学校給食未実施校におけるお弁当に要する経費については、就学援助の対象とされていない。

 中学校における家庭の手づくり弁当は、体格差の大きな中学生期において、個人の成長に応じた食事がとれることや、弁当を通じて親の愛情を感じ、感謝の気持ちをはぐくむなど、親子のきずなを深める上で効果があるとされている。一方、学校における食育を進めるに当たって、児童生徒の発達段階に応じた体系的・継続的な指導は大変重要であり、中学校においても小学校同様、学校給食を活用した指導は大変大きな意味を持つものと考えている。

 中学校給食の実施は、学校設置者である市町が、保護者の意向や地域の実情、教育的効果等を判断し決定されるものであるが、県教育委員会としては、学校給食を活用した食育について、学校設置者、教職員等を対象とした研修会において継続的に取り上げ、啓発を図り、関係者の理解を深めることで、中学校給食の普及充実に引き続き努めてまいりたいと思っている。

(井戸まさえ)

 給食費の援助に関しては、例えば、同じ県の中でもらえるところともらえないところがあるという視点では、今までなかなか議論がなかったと思う。私は、市や国の政策でも、こうした県民の中での公平性が担保できていないこと、また、県民の利益を考えれば見過ごせないということに対しては、きちんと物を言っていくべきだと思っている。

 私は、知事への申し入れのときに、今、保育料が徴収されるときに、「階層」という言葉が使われている。例えば、収入の高い層はB階層だとか、生活保護をもらっているところに関してはA階層だとか、そうしたように「階層」という言葉が役所用語で無神経に使われていることがあるが、これに対して問題提起をさせていただいた。兵庫県は、県としてこの3月には市町に、また、4月には国に対してもこうした「階層」を使うということに対しては問題提起をしていくということで回答をいただいている。

 市町に任せず、また、国の政策だからといって言わないということではなくて、ぜひとも積極的に、食育の観点からだけでなくて、こういう今の二極化の問題の中で、教育現場の中で親たちも、また、子供たちもいろいろと悩みを抱える原因の一つになるということをご理解いただいた上での取り組みをお願いしたい。

 次に、学校給食の普及充実についてお伺いをする。

 食育の面からも給食をとらえてみたいと思うが、「また、弁当か、飽きた。カレーライスじゃないのか」「たまにはうどんとか温かいものが食べたい」「せめて御飯だけでも温かければ違うのに」「野菜不足で体に悪いよね」。これは実は当委員会での昼食時の会話であった。多分、お弁当となっている学校でも、同様の会話が行われているのではないかと私は思う。ほんと毎日お弁当が続くと、そういうことは実感としてわいてくると思う。

 特に中学生ともなると食べ盛りである。どうしても「かさ」が必要となってしまうために、結局空揚げとかコロッケ、揚げ物が中心になってしまう。小学校のときの給食で野菜がたくさん入ったスープの存在、また、家ではなかなか調理できない食材を使ったメニュー等がとても頼もしく思い出される。成長期の子供たちの健康を支えるためにも、給食の役割は小中学校には欠かせないものだと思う。兵庫県内では、小学校でも未実施の地域があるともお聞きしたが、食育の観点から給食の普及をどう図っていくのか、現状も含め、今後の展開をお伺いする。

(吉本教育長)

 学校給食は、昭和29年に学校給食法が制定されて以来、学校教育活動の中に着実に定着をし、児童生徒の健康の保持増進と望ましい人間関係の育成など、教育的な役割を果たしてきている。本県における完全給食実施率は、小学校で98.7%、中学校で42.3%となっている。委員のご指摘にもあったが、残念ながら中学校において低い状況である。近年、新たな学校給食センターの開設、家庭弁当と弁当給食との選択制による給食の実施などにより、徐々にではあるが増加傾向にはある。

 県教育委員会としては、学校における食育を積極的に推進をしていくため、現在、「食で育む子どもの未来」食育推進事業を実施しており、学校給食を生きた教材として、給食の時間や教科等の指導に生かすため、自分で栄養バランスを考えた献立を選ぶバイキング給食や地場産物の献立への取り入れなど、学校給食を有効に活用した実践的な研究を行っているところである。

 今後、「食の安全安心と食育に関する条例」の制定に伴って、食育推進計画が策定されることとなるが、現在進めている食育推進事業における研究の成果を踏まえるとともに、関係部局とも連携しながら、学校における食育の推進と学校給食の普及啓発に一層努めてまいりたいと思っている。今後とものご指導をよろしくお願いする。

(井戸まさえ)

 言われたとおり、学校給食法は昭和29年の施行であるが、その前身というのは、明治22年、山形県で貧困児童を対象に行われたことが最初と言われている。先ほども申したが、二極化が叫ばれる中で、私は、給食の重要性というのは非常に増していると思う。食育の観点からも同じである。また、ナショナルミニマムではないが、リージョナルミニマムを保障するためにも、県としてその普及・奨励にますます努めていただきたいと思う。

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5 保育所徴収金基準額表について(決算特別委員会:H18・12・7)

(井戸まさえ)

 子育て真っただ中の世代として、身につまされている問題を取り上げて質問したいと思う。

  平成17年度は部局横断的な組織として少子対策本部が設立され、兵庫県が全庁挙げて少子化や子育てに対して積極的に取り組もうという姿勢をあらわす象徴的な年ともなった。

 少子化の原因は幾つもあると思うが、その一つに「経済的な困難さ」が挙げられる。子供を育てるには、時に個人では負担し切れない経費がかかる。それは子供を保育所に預け、働いている親にとっても深刻な問題である。毎月の保育料の額も私は問題にもしたいと思うが、きょうは額ではなくて、名目についてお尋ねをしたいと思う。

 毎月の保育料の額は、保護者が保育所入所を申込書に添えて提出する税額の証明書等に基づき、決定し、通知される。その「区分」は、例えば、生活保護法被保護世帯では「A階層」、市民税非課税世帯は「B階層」、課税世帯でもその税の額によって「C階層」「D階層」という名目で徴収されている。

 私は、毎年これが春になると、自分がどこの階層に所属しているのかというのが通知されてくる。非常にこれに毎回何か違和感を持っている。

 「格差社会」が問題視される中で、こうした保育行政の中に「階層」という言葉があるのがふさわしいかどうか。私は、平成17年度の知事への重要政策提言の場でも直接要望させていただいた。「階層」は行政用語かもしれないが、やはり、親たちにとっては余りにも無神経な言葉かと言えると思う。

 経済的負担を軽減する、例えば予算措置を伴う施策展開は難しくても、文言を変える改革はできるはずだという趣旨を知事にはご理解いただき、徴収主体である市町と、また、国へもそれぞれ提言していただけることとなった。

 そこで、まず、その進捗状況をお伺いしたいと思う。

(森少子局長)

 保育所の徴収金は、国が扶養義務者の課税額の階層区分に基づき、「保育所徴収基準額」を定めていることから、「階層区分」という表示を市町がそのまま用いて、規則等により保育所の徴収金を定めているところである。

 委員ご指摘の「階層」という用語については、県としては、保育所事務等市町担当者会議において、その取り扱いを協議するとともに、国に対しては、特別養護老人ホーム、障害者福祉施設において、「段階」や「区分」の表現を使用している例もあることから、表現の変更を要望しているところである。

 今後とも、国及び市町に対して引き続き働きかけを行ってまいりたいと考えている。

(井戸まさえ)

 今まで当たり前として使われていた言葉、これが変わったならば、保育行政史上、本当に初のこととなり、兵庫県の取り組みが評価されていくと思うので、ぜひとも引き続きの要望をよろしくお願い申し上げる。

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6 家族再生支援プログラムについて(決算特別委員会:H18・12・7)

(井戸まさえ)

 児童虐待についてお伺いをする。

 家族再生支援プログラムについて、まず、お聞きをしたいと思う。

 ニュース等で児童虐待による被害について聞かない日はないほどである。特に、実の親による虐待で、既に児童相談所等で把握している案件にもかかわらず、最悪の事態に陥ってしまうケースも多くある。私は平成17年度の健康生活常任委員会の管内調査で、西宮こども家庭センターを調査した折に、兵庫県のこども家庭センターでは「家族再生支援プログラム」に力を入れていくという報告を受けた。しかし、実際には虐待関係にあった家族が再生していくことは多くの困難が伴うと思うが、本県の現状と課題について伺う。

(清原理事)

  親子を強制的に分離した後、再び子供を家庭に戻すことは、職員たちにとっても文字どおり体を張った本当に困難な仕事である。しかしながら、子供は家庭で育つことが基本であり、それゆえにこそ家族のきずなを深め、家族を地域が支える取り組みが重要であることは、昨日の県民政策の委員会でもご答弁申し上げたとおりである。

 そうした視点から、5年前の尼崎での児童虐待死事件の後、それまで不足していた親へのアプローチをどうするのか、何度も何度も研究を重ね、プログラムを作成し、平成16年度から県として全国に先駆けての専門機関である「こども家庭センター」を中心に、施設入所した被虐待児の家庭復帰をめざす「家族再生支援プログラム」による親指導をスタートさせて重点的に取り組んでいるところである。

 平成17年度は、こども家庭センターの専門チームが中心となって、施設入所中の子供149人の家族を対象に、延べ739回の保護者への個別面談、延べ136回の家族合同面接の指導を、また、児童養護施設と連携し、子供12人、10家族を対象に、保護者のグループ指導であるペアレントトレーニングを延べ26回開催し、対象者の約2割、29人の子供が家庭復帰できたところである。

 今後は、さらに親子のきずなを積極的に取り戻す家族再生指導の実施とともに、市町の要保護児童対策地域協議会を活用し、関係機関や民生児童委員等の地域と連携し、子供を家庭に戻した後の家族への支援のフォローについても一層の配慮と充実を図ってまいりたいと、このように考えている。

(井戸まさえ)

  やはり、子供を家庭に戻すためには、家族の方の経済的状況であったり、地域の中の位置づけだったり、そうした環境を整えなければいけないというのは、本当にそのとおりだと思うし、きめ細かくケアをしてくださっているのも今のご答弁の中で非常にわかった。引き続きよろしくお願いしたいと思う。

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7 里親制度について(決算特別委員会:H18・12・7)

(井戸まさえ)

 私は、虐待によって傷ついた子供たちを救う方法として里親制度に期待をしている。

  児童虐待児が年間100万人にいると言われるアメリカでは、1935年以来、虐待児には特に1対1のケアが必要ということで、児童養護施設などは廃止されて、里親などの個別養育が基本となっている。諸外国との国際比較を見ても、大体8割が里親、2割が養護施設という流れになっている。宗教観が違う日本でも同じことができるのかと言ったなら、また別の話になるが、虐待された子供の視点から見れば、安定した家庭を持つことがどれほど大切な意味を持つのかわかると思う。

 里親制度は、昭和31年度には全国で1万7,836人の登録里親がいたにもかかわらず、平成16年度末には7,542人に激減している。兵庫県の場合は逆で、昭和31年には203人だったのが、震災のこともあってか、平成17年度には231人と微増している。しかしながら、その中で実際に委託されている里親数は72人、委託児童数は88人にすぎない。里親制度の現状と今後の展開について伺う。

(森少子局長)

 里親制度は、親と一緒に暮らすことのできない子供に対し、「温かい愛情と正しい理解を持った家庭」を提供し、すこやかな成長、発達を支援するものである。

 本県では、昭和37年より、全国に先駆けて、里親希望者を募る「愛の手運動」を提唱し、民間セクターである「家庭養護促進協会」と連携しながら、里親制度の普及啓発と開拓に取り組んでいるところである。

 また、こども家庭センターでは、被虐待児で保護者の同意が得られない場合などを除き、子供の状態に応じ、早い段階から里親への引き合わせにより、里親とのマッチングに努めてきたところである。

 その結果として、平成16年度末現在、全国的に見て、本県――神戸市を含むが――の状況は、実際に受託里親について77組で全国で第7位、委託児童89人で第8位であり、近畿及び隣接の県の比較ではトップの水準にある。平成18年10月の県内の状況では、16年度末に比べて、委託里親88組で、これは14.2%の増加、委託児童105人、これは18%の増加で、さらに増加している。  今後とも、里親委託の促進とともに、里親家族に対する地域の援助や理解等に配慮しつつ、里親の養育相談、里親相互の交流や一時的な休息のための助け合い、レスパイトケア事業等の支援のほか、施設入所児童が家庭的な営みを体験する週末里親の実施等に取り組み、里親制度のさらなる充実強化に努めてまいりたいと考えている。

(井戸まさえ)

私が今回の質問の中で、里親制度を取り上げようと思ったのは、昨年度に県が主催した里親を考えるシンポジウムに参加して非常に感銘を受けたこと、それともう一つが、「イギリスの里親制度について」という京都府立大学の津崎教授の論文を読んだことがきっかけであった。その論文では、イギリスのケースをもちろん取り上げていたが、サッチャー以来、社会的排除を受ける子供たちが急増して、行刑施設、いわゆる刑務所とかの人口の多数を占めるようになったことに対して、ブレア首相が5ヵ年計画、3ヵ年計画の中で、キャッチフレーズとして「社会的共同親」  コーポレート・ペアレントという発想を示した。日本でも、地域で子供を見守る、社会ではぐくむというのはよく言われるが、それではだれが責任なのかというのは明確にされていない。あいまいなままである。

 しかし、ブレア政権では社会的共同親を具体的に列挙している。最初に挙げられるのは、私は当然、その施設の施設長や里親かと思っていたら違うのである。そこの第1番目に挙げられるのが、我々地方議員だったのである。つまり、虐待を受け、児童を長期、短期にわたり、子を家族から引き離して児童養護施設や里親などで養育するという重大かつ困難な決定を一たび自治体が行ったら、その子の福祉の保障と推進というのは当然、自治体全体の責務となる。その義務を担う先頭に地方議員はいるということである。地方議員は自分の選挙区の虐待児童の数や、どういったところで養育されているのかを確認して、時には抜き打ちの訪問等を行って、養育の質に関して常に心を砕くことを責務とされている。

 私は、虐待児を守れなかった行政機関の対応を責めるだけの側にいたことに非常に恥じ入った。自治体のトップや議員の中には実際に里親になる例も数多く欧米諸国ではある。地方議員も行政機関と協力していくシステムづくりも必要だということで、私は虐待児を守ることに関して当事者意識を持って当たっていきたい。その覚悟を含めての質問であった。

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8 学童保育について(決算特別委員会:H18・12・7)

(井戸まさえ)

 最後は学童保育についてである。

 学童保育は、少子化の時代にかかわらず、そのニーズはふえる一方で、兵庫県でも神戸市を入れて2万8,907人の子供たちが、親が働いている一定期間までの間を学童保育等で過ごしている。放課後の過ごし方については、子供たちの安全対策も含め、さまざまな施策展開がされているが、その運営基準はない。例えば、保育所や小学校であれば、当然設けられている人数に対しての指導員の数や施設面積の保障もない現状である。

 県下では、新設された芦屋市精道小学校内の学童保育所では1人当たり2.2平米を確保しているそうだが、神戸市内で1平米もないところもあり、余りにスペースがないため、みんなが壁に背をつけて本を読む。前庭での遊びは交代制、事故が起きても不思議ではないケースも多々ある。例えば、埼玉県では独自に「放課後児童クラブ運営基準」を設け、県独自に児童たちの安全と放課後の暮らしを保障している。兵庫県でも、そうした基準をつくろうという動きもあったと聞いているが、その点も含め、平成17年度における学童保育の取り組みに対しての評価をお伺いする。

(森少子局長)

 「放課後児童クラブ」、いわゆる学童保育は、児童館や保育所、それから学校の余裕教室等の社会的資源を活用して行うものとされている。そのことから、放課後健全育成事業のさらなる質的な向上を図り、子供の放課後の安定した遊び及び生活の場を確保するため、市町が地域の実情に応じて一定の運営基準を定める必要があると考えている。

 このため、県では、児童1人当たりの面積基準、児童1人当たり1.65平方メートル以上であるが、さらに職員の配置の基準を示すなどの放課後児童健全育成事業の運営ガイドライン案を示し、市町に対して放課後児童クラブの運営基準の策定を働きかけたところである。

 この結果、これまでに尼崎市、西宮市を初め19市町が運営基準を策定しているところであり、市町においては、放課後児童クラブは子供たちの放課後の安定した遊び及び生活の場として一定の水準が確保されていると考えている。

 ご指摘の神戸市については、本年度、検討委員会を設置し、放課後健全育成事業の推進方策が検討されていると聞いているが、県としても、神戸市と緊密な連携を図り、運営基準の策定を含めた指導、助言を行ってまいりたいと考えている。

井戸まさえ

 学童保育に対しての陳情はすごく多い。中でも発達障害児の受け入れ等でのトラブルなど運営についての問題も多く存在すると聞いている。施設面、また、指導員の質の確保についても、重ねて政策展開の方をお願いして、私の質問を終わらせていただく。

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9 特別支援教育における地域格差と情報伝達の方法等について
(決算特別委員会:H18・12・16)

(井戸まさえ)

支援を必要とする子供たちへの対応についてお伺いする。

 1点目は、特別支援教育における地域格差と情報伝達の方法等についてである。

 LD、ADHD、アスペルガー症候群といった発達障がいは、児童生徒の問題行動、また、いじめや不登校、児童虐待につながりやすい要因になり得るとも指摘がある中で、教育の中において新たな課題とされてから、はや10年以上が経過している。この間、国会にて、発達障がい者支援法が成立し、発達障害のある子に適切な支援や支援体制を整備することが法的に明確になった。また、文部科学省の特別支援教育体制推進事業として、平成19年度までを目途に、特別支援教育コーディネーターを全小中学校で指名することなど大きな前進があった。一方、教育を担う学校でのサポート体制のおくれも指摘されている。

 私の子供の一人は自閉症の一種で、学校で特別支援教育を受けている。最近でこそ、自閉症も含めた発達障害は脳機能の問題であることが判明し、家庭での育て方やしつけの問題ではないことが指摘されるようになったが、一般社会の中ではなかなか理解が進まないことも実感として持っている。

 こうした中、この夏、私も会員である兵庫県の発達障がいの子供たちを抱える親の会「たつの子」のアンケート調査の結果が届き、驚いた。このアンケートは、小中学校に在籍する「たつの子」正会員146名を対象に、学校における教育支援体制整備について行ったものである。アンケート結果では、同じ兵庫県内でも神戸市と兵庫県を比較し数値に差が開いた項目が幾つかあり、地域格差をなくしていくことが課題と指摘されている。

 例えば、神戸市のこうべ学びの支援センターについては、「センターを知らない」とした保護者は0%、利用率は小中学校平均で50%で、センターの認知度、期待度ともに高いことが明らかになった。しかし、兵庫県のひょうご学習障がい相談室については、認知度は高いものの、現利用率は小中学校合計で6.2%にすぎない。

 また、兵庫県・神戸市両教育委員会からは、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名に関しては8割から10割と報告を受けているが、一方、親の認識としては、「特別支援教育コーディネーターがいる」、「校内委員会を設置している」との回答は3割前後と、せっかくシステムがつくられているにもかかわらず、十分に機能していなかったり、保護者に情報がうまく伝わっていないことが明らかとなっている。

 県の役割には地域格差の是正という側面があるが、特別支援教育における地域格差に関する認識、また、情報伝達の方法等について、どのような対策を行ってきたのか、行っていくのか、ご所見を伺う

(細川障がい児教育室長)

 特別支援教育を推進するに当たっては、LD、ADHD等を含め、特別な支援を必要とする児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、適切な支援を行うための学校及び地域における支援体制を整備することは、何より大切であると考えている。

 しかし、地域によっては専門の相談機関等関係機関の設置状況や支援体制の整備状況が異なっている現状がある。そのため、ひょうご学習障がい相談室では、地域での支援活動を充実させるため、今年度、巡回教育相談の開催会場を淡路地区及び但馬地域では複数設けるなど、地域ごとのニーズに対応してきたところである。その結果、昨年度384件であった相談件数が今年度は435件に増加するなど利用がふえている。

 ひょうご学習障がい相談室については、これまでリーフレットを県下の保育所、幼稚園、小中学校等に配付したり、県教育委員会のホームページでの案内や各種研修会での紹介など、情報提供に努めてきたところである。今後、さらに活用を促進するため、関係部局とも連携して、市町教育委員会や学校、また、保護者等への周知をさらに図っていく所存である。

(井戸まさえ)

  6.2%という数字、これは、「たつの子」の親の方たちは皆さん障がい児を抱えて認識もしていて、自分たちで情報をとって学んでいこうという姿勢がある親御さんたちの利用率でも6.2%なので、一般的なことに関しては、もっともっとやっぱり認識も利用していくというのも低いと思う。だから、地域格差をなくすためにも頑張っていただきたいと思う。

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10 観「支援を必要とする子どもたち」に対応できる体制について
(決算特別委員会:H18・12・16)  

(井戸まさえ)

 支援を必要とする子供たちに対応できる体制づくりについてお伺いする。

 発達障がい児だけでなくて、問題行動を起こす子供たちへの対応として、県でもさまざまな施策をとっている。そうした支援を必要とする子供たちへの決算額の合計を見ると、決して少なくない額であることがわかる。

 しかしながら、スクールカウンセラーやアシスタント等、当然あった方がよいし、効果もあるのはわかっているが、一方で、子供たちに毎日対峙し学習面から生活全般まで見ている、つまり、彼らの教育の最前線にいる学校の先生方の体制づくりに関してはどうなのだろうかと思う。

 私の子供が通う神戸市の本山中学校は、全国で最も支援が進んだ中学校と言われるが、その体制は至ってシンプルである。特別支援コーディネーターの先生、担任の先生、養護教諭の先生が、子供にとって何が障がいとなっているのか、その障がいを取り除くためには何をしたらよいのかを理解し、教科の先生やほかの生徒たちの仲立ちをしてくれる。スクールカウンセラー等を利用したことはないが、そうした機能は先生たちが担ってくれている。

 特別支援教育だけでなく、いじめ、不登校、教育現場が抱える問題を根本的に解決するためには、やはりそれなりの人的配置が必要だと思う。実感としては、教育のメインである常勤の先生方の体制再整備を行い、できれば、転勤等のことも考え、特別支援コーディネーターの先生の指名をメインとサブの2名とし、継続性を担保すること等が有効と考える。幾つもの事業に分散して多角的に進めていくことも大事だとは思うが、予算が限られた中では、効果を見きわめながら集約も必要だと思う。今行っている施策の有効性についての検証等を、いつの段階で、どのようにやっていくかも含めて、お考えを伺う。

(細川障がい児教育室長)

  学校においては、発達障がいを含め、支援を必要とする児童生徒の教育的ニーズが多様化しているため、スクールカウンセラーやスクールアシスタント、また、学校生活支援教員等、ニーズに応じた専門性のある人材を配置する事業を実施しているところである。

 これらの事業においては、毎年、研究連絡会とか担当者会を開き、それぞれの学校での取り組み状況を検証してきており、児童生徒へのきめ細かな対応が図られることにより、長期欠席生徒が減少した、あるいは児童生徒が落ちついて授業に参加できるようになった、また、学習意欲が向上したなどの成果が報告されている。

 なお、LD、ADHD、高機能自閉症等の支援体制については、校内委員会の設置とその核となる特別支援教育コーディネーターの役割は極めて重要と考えており、今後も引き続き特別支援教育コーディネーターの計画的な養成を図るとともに、校内での継続した支援が行われるよう、担任の気づきから学年へ、さらに学校全体で取り組む支援体制整備について、各学校の取り組みを支援していく所存である。

(井戸まさえ)

  午前中に合田委員の方からもご指摘があったが、障がいを抱える親子を支えるのは、本当に先生たちの存在が大きい。やはり、24時間体制というのではないが、いつ電話しても先生が出てくれたり、また、一生を通じて見守ってくれるというような確信を持てる先生と出会えるか、出会えないかというのが、親子にとってその障がいを乗り越えていく本当に勇気づけになっていくと思うので、ぜひともそうした体制整備をよろしくお願いしたいと思う。

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11「未履修問題」への対応について(決算特別委員会:H18・12・16)

(井戸まさえ)

 未履修問題への対応についてお伺いする。

 昨年来、マンションの耐震強度偽装問題、ホテルの違法建築、ライブドアによる株式の不正取引などの事件が相次ぎ、社会問題化したが、未履修問題の発覚により、教育の現場ですら基本的な規範意識の低下や倫理が欠如していることが浮き彫りとなった。

 未履修問題の背景の一つに大学受験の過酷さが挙げられる。我が県では既に平成13年に発覚し、是正した後にも行われていたことで、より衝撃が大きいが、逆にとらえれば、受験に追われる現場の悲痛な声ともとらえることができると思う。実際、全国的な高校での必修科目の未履修が発覚する前の本年7月、全国普通科高等学校長会が全国の公立188高校を対象に実施した調査で、39%が「学力向上のため、学習指導要領の必修科目を減らし、学校の裁量を大きくしてほしい」と回答したことがわかった。大学進学率の高い高校では「何を必修科目とするかを学校の裁量とする」との回答も含めると、66%が裁量拡大を要望、週休2日で授業時間確保が難しい中、必修科目設定に対する現場の不満が未履修問題の背景にあることをうかがわせている。

 調査は、各都道府県の公立高校から進学校と就職など卒業生の進路が多様な高校を抽出して実施されたようだが、このうち、進学校では「必修科目を減らしてほしい」が47%にも上り、学習指導要領の改訂について「現行の考えを踏襲してほしい」との回答はたった5%であった。多分こうした意見は現場の率直な声でもあり、兵庫県の学校現場でも同じではないか。

 井戸知事も先月会合で言及されていたが、学習指導要領を守らなければならないのは当然であるが、しかし、その守るべき要領が時代の要請、つまり、大学入試に対応したものではないこと等、前回の問題が起ったときにきちんとしておくべきではなかったのかと思う。だれもがわかっているが、文部科学省ですら見て見ぬふりの部分があり、今回も責任を学校現場に押しつけて終わりというのでは、根本的な問題解決にはならないと思う。大学入試システムを変えるか、要領を変えるか、運用を柔軟にするか、いずれかの対応をしない限り、競争の激しい教育現場では、また同様のトラブルは起こってくると思う。

 そこで、前回、兵庫県として、文部科学省にどのような報告をされたのか、また、今回における文部科学省への提言的な対応は行っていくかについてお伺いする。

(岡野教育次長)

  未履修問題については、本県で平成13年度に発生した当時、教育次長及び高校教育課長等を文部科学省に派遣して、事実関係の経緯、全県の調査結果を報告するとともに、補充等の是正措置の内容等について協議し、科目の履修や卒業の認定など、生徒の救済策に全力を注いできた。

 各高等学校は、学習指導要領の示すところに従って必履修科目を履修させなければならないのは当然のことである。殊に、平成14年度から完全学校週5日制が導入され、学校では教育内容を厳選して実施する工夫が求められており、未履修となった学校ではその努力を怠ってきたと言わざるを得ない。

 また、今回は、本県のみならず全国で約1割の高等学校でも同様の問題が発生しており、その状況を見ると、問題となった教科・科目に一定の傾向が見られることから、学習指導要領における必履修規定の内容が生徒の実態や社会の状況に合わない部分があるとも考えられる。

 そこで、国に対しては、生徒一人一人の個性や能力を尊重した教育の一層の充実を図り、各都道府県が創意あふれる教育に取り組むため、学習指導要領についてより弾力化を図るべく見直すよう、知事名で提案しているところである。

(井戸まさえ)

  結果のみ、未履修が何校あったとかということだけではなくて、やはりそこに至る原因のところをきちんと報告して、そして考えていくというのが高等教育の本当の姿につながっていくと思うので、ぜひともその辺もよろしくお願いしたいと思う。

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12 指導力に優れた教員の確保・育成等について(決算特別委員会:H18・12・16)

(井戸まさえ)

 指導力にすぐれた教員の確保・育成等について伺う。

 つい数日前行われた東京都議会で、2007年度から団塊の世代の教員の大量退職に備え、都の教育委員会は、今年度から、宮城県教育委員会と協定を結んで教員の交流を始めたことを明らかにした。互いに教員の年齢構成のピークが異なるため、今年度は宮城県から東京都側への受け入れだけだそうであるが、都内の公立小学校で2人、都立高校で3人の教員が3年間を原則として勤務しており、こうした教員交流を他の道府県にも働きかけていく方針を示したが、ベテランの先生が一定数まとまって教育現場から抜けてしまうことに関しては、東京都ではなくても危機感を抱く。我が県の対応策についてお伺いする。

 また、勤勉手当等、待遇面での差をつけていくこととなっているが、指導力にすぐれた教員をどう評価していくのか、また、指導力にすぐれた教員をどのように確保・育成していくのか、さらに、県内の公立高校でも全国的に有名なすばらしい先生がいるとも聞いているが、そのような先生たちが十分に力を発揮してもらえるような土壌があるのかも、あわせてお伺いをする。

(五百住教育課長)

  本県では、団塊世代の教職員の大量退職に対し、他府県との交流手法は用いてはいないが、中長期的な視点に立ち、計画的に必要な教員の採用を進めているところである。

 その際、採用数が増加する中で、経験豊かで優秀な教員を確保するため、昨年度から、他府県現職教員等に対する一次筆答試験免除を実施しているところである。また、採用年齢を平成14年度より35歳から39歳に引き上げ、年齢構成の是正にも取り組んでいるところである。

 さらに、特色ある有為な人材を確保するため、スポーツ・文化活動等でのすぐれた実績を有する者や民間企業経験者等の積極的な採用にも努めているところである。  今後も、採用試験の工夫改善について取り組み、有為な人材確保に取り組んでいきたいと考えているところである。

 次に、すぐれた教員の育成については、初任者、5年次、10年次研修等を的確に実施するとともに、大学院派遣や国の中央研修への派遣、長期社会体験研修等、意欲ある教員に対する研修制度の充実を図るとともに、今年度からは、人事評価・育成システムを導入して、実際の職務を通じて校長が指導していくなど、教員全体の質の向上を図っているところである。

 また、すぐれた教員に対して、従前の部活動指導者表彰に加え、新たに本年度から優秀教職員表彰制度を設け、学校教育活動の中で優秀な活動を行っている者について表彰し、その成果を普及し本県教育の活性化を図ることとしているところである。

 さらに、このようなすぐれた教員には、県立教育研修所における講師や県立学校の教科部会等での指導者、各教育事務所の教科指導員等、すぐれた指導力を他の教員の資質向上のための活用を図るなど、今後とも優秀な教員の育成に努めていきたいと考えているところである。

(井戸まさえ)

 例えば大学生ともなると、学生は自分の興味や専門性によって先生を選んでいくということができるが、その点では高校までの教育とは大学というのは大きく異なる。

 高校までの子供たちが学校で出会える先生の数にはある程度限りがあり、指導力にすぐれた先生と出会う場をより多く保障していくというためにも、優秀教員の表彰を得た先生を別の学校にも派遣してみるなどの試みがあってもいいのかと思う。例えば、今行われている研究授業では、通常のクラスで先生が教えていることを先生方が見にくるという形である。そうではなくて、今度、先生が別の学校やクラスに出向いて、子供たちが違う先生の授業を体験できるというパターンも必要かと思う。

 西脇工業のあの渡辺先生のように、人間力のある先生たちがたくさんいるとも聞いている。先ほど言われていたが、こうした先生たちのノウハウを伝播していくシステムも非常に大切になってくると思うので、どうぞよろしくお願いしたいと思う。

 また、次に詳しく紹介する東京大学の本田助教授は、今の学校教育の解決のかぎは、むしろ学校教育の専門性を高めることにあるのではないかということを指摘している。受験戦争の中で、日本の教育がおろそかにしてきた領域である工業高校や農業高校で学ぶ生徒の躍動感に共感したとある。

 実は、私はこのくだりを読んだときに、本当にびっくりした。私も全く同じ認識を持っていて、インターンで他府県の大学生を受け入れたが、その大学生の中に公立の商業高校出身の1年生の学生がいた。彼女は、学力も、そして実践力もすばらしい。これだけの教育を商業学校で行っていたというのを聞いて、とても興味を持って、それ以来、個人的に県内の商業高校で授業参観をしたり、三重県の農業高校を回ってみたりもしてきた。そうすると、そういった高校、専門性のある高校は非常に先生方も頑張っているし、子供たちにも生きる力というのがあるのに驚いた。今まで私はそういった認識を持ってなかったので、ここに何か21世紀に向けてのキーがあるなと、本田助教授と同じ認識を本当に持った。

 雇用がグローバル化する中で、日本の子供たちが世界で生き抜く可能性を担保していくためにも、専門分野での先生の育成も、あわせてよろしくお願いしたいと思う。

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13 「道徳教育」について(決算特別委員会:H18・12・16)

(井戸まさえ)

 人間力について、道徳教育という観点から質問したいと思う。

 けさの新聞に、大佛次郎論壇賞受賞者のインタビューが載っていた。奨励賞を受賞したのは、先ほど紹介した東京大学助教授の本田由紀さんである。「「ニート」って言うな!」の著者で有名であるが、今回の受賞作「多元化する「能力」と日本社会」では、今、教育の世界でコミュニケーション力や創造性といった人間力が多用され、学力一辺倒からの解放かと思いきや、実態は人の内面すら評価する、さらに厳しい競争社会ではないかとして、現代の若者を取り巻く状況をハイパーメリトクラシー――超実績主義として警鐘を鳴らしている。

 また、学力だけではなくて、そうした人間力の育成も環境に左右されがちで、物を言うのは家庭教育。本田さんは、家庭教育は時間やお金をどこまで負担できるのかで自然に差が出てしまう、現状の格差が再生産されるか、さらに広がるだけとしている。

 そうした背景の中で、少子化等の影響もあり、子供が、本来、家庭や地域で学ぶべき規範意識を熟成する場や機会の格差が指摘されており、人生における人格形成の場としての学校の役割がますます大きくなってきている。

 道徳の時間の活用に注目が集まっているが、私たちが育ってきた時代に比べて、異文化への理解と尊重や情報管理の分野も網羅しなければならなく、対応が難しいところだと思う。学校教育の中での道徳教育のあり方、また、ほかの教科のように点数等で生徒たちの理解度、到達度をはかることも難しいと考えるが、その目標について伺いたいと思う。

(吉本教育長)

  道徳教育の目標であるが、学校の教育活動全体を通じて、道徳的な心情、判断力、実践意欲と態度などの道徳性を養うことであると考えている。

 このことを言いかえると、道徳教育を通じて子供たち一人一人が人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を培い、それらを家庭、学校、その他社会における具体的な生活の中に生かすことができなければならないものと、このように考えている。

 こうしたことから、道徳教育は、道徳の時間のみならず、各教科、特別活動及び総合的な学習の時間と密接な関係を図りながら、計画的、発展的に指導をする必要があるものと考えており、このことを通じて、子供たちが自己を見詰め、道徳的価値の自覚を深め、主体的な道徳的実践力を身につけていくものであるということから、教科のような評価を行うものではない、このように考えているところである。

(井戸まさえ)

 道徳教育というと、必ず最近引き合いに出るのが新渡戸稲造の武士道である。伊吹文部科学大臣も、河村元文科相も、「道徳教育を日本は武士道でやっている」というような発言をされている。

 先日の新聞では、武士道が、教育基本法改正派からも、また反対派からも論拠になっているということで話題になっていた。私は新渡戸稲造門下生であるが、実際に自分の規範の中にそうしたものがあることを非常に自覚している。例えば、どんな眠い会議でも何か寝られない、ここで稲造先生が何か見ているような感じがある。それで、新渡戸稲造は、仕事と思索というものが人をつくっていくということも言っているので、常に自分の鍛錬というものが必要で、非常に厳しい規範というものが自分の中にあるのを自覚する。

 そこで、ふと気がついたが、私は道徳教育の目標というのは、先ほども言われていたようなこともあるとは思うが、自己の中に他者の目を持つことだと思っている。他者の目で見て、一体この行動が正しいのか、正しくないのか、自分はこうしたいけれどもというのを、常にもう一つ客観性を持つことによって、非常にそういった道徳心、公共性というものは育ってくると思っている。

 きょうの委員会の質問の中で、筒井委員の方から、教育問題において軽薄な議論をする時間はないという非常に含蓄のある厳しい意見があったが、私は、この質問をするに当たって非常に身の引き締まる思いでここに立った。私が受けてきた道徳教育の結果としての政治姿勢に基づく質問をこれで終わる。

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14 民法772条に関する無戸籍児への対応について(定例会:H19・6・26)

(井戸まさえ)

 離婚後300日以内に出生した子は前夫の子と推定する民法772条の規定のため、出生届が受理されない無戸籍児の存在が昨年末の新聞報道をきっかけに社会問題ともなり、去る5月7日、法務省は、妊娠日が離婚後のケースに限り、前夫の子でない出生届の受理を認める通達を出しました。

 この通達については、当事者の訴えもさることながら、側面から大きな後押しとなったのは、心ある自治体の協力です。

 東京都足立区における住民票の作成、また無戸籍児のパスポート発給に対し、麻生外務大臣に対する要望書を全国に先駆けていち早く提出した本県井戸知事の英断と兵庫県産業労働部国際局のご尽力が、明治民法制定以来110年間全く動かなかった法運用の見直しにつながったものと感謝申し上げますとともに、一県民として誇りに思います。

 しかし、残念ながら、この通達で救われるのは1割程度と言われています。残り9割の無戸籍児に関して、長勢法務大臣みずから、社会通念上やむを得ないケースについては今後救済を検討していくとの対応を明らかにしていますが、その時期や範囲は明確にされておりません。

 兵庫県内において確認されている神戸市東灘区、西宮市在住の無戸籍児はいまだ解消されておらず、また、人口比にすれば年間100人以上は生まれていると見られる兵庫県内の無戸籍児と、将来不安の中、懸命に子供を育てているその親のためにも、7月12日に開催される全国知事会を通じ、法務省に対し、子供たちの人権を第一義に考えた救済に関する要望を行うことは有益と存じますが、いかがですか。

 無戸籍状態の子供を抱える親にとって最もつらいのは、確かにいる我が子なのにもかかわらず、国や自治体にとっては生まれていない子として扱われることです。健康保険や児童手当等に関しては、厚生労働省の確認通知により改善はされてはいますが、相変わらず、本来、自動的に得られるはずの住民サービスが能動的行動を起こさないと得られず、産後間もない母親と子供には過酷とも言える負担を強いています。

 また、厚労省通知後も、例えば予防接種に行っても、住民票のある子供は、何か障害が残った場合、国と自治体が補償をするけれども、住民票のない子は製薬会社の補償になるため、誓約書にサインをしてほしいと言われたケースもありました。

 住民票がない子は、依然として行政の外側でオブザーバー的存在として扱われがちなのです。

 出生届がなされていない者の住民票の取り扱いについては、総務省の昭和49年沖縄県地方課あての回答では、戸籍が最終的に受理されるまでの措置として、例外的に住民票の記載が認められています。しかしながら、戸籍業務を行う多くの市町では、この扱いについては周知に至らず、この回答に照らしてみれば住民票がつくられてよいケースでも作成がされていない状態になっています。

 そもそも各自治体の長は、みずからの地域に暮らしている県民、住民の把握に努めることは責務だと思います。通常よりも過酷な状態で育っている無戸籍児は、より福祉の対象であり、だからこそ居所や養育状況の把握が必要であるわけです。その把握のためには、兵庫県にとっても、無戸籍児の住民票への記載は大きな助けになるはずです。

 知事の公約である安心して子育てできる環境を確保するためにも、住民票の発行は市町の自治事務であることを尊重しつつも、県内市町に対し総務省の回答の内容をいま一度周知徹底すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

(井戸知事答弁)

 民法772条による無戸籍児への対応についてです。

  さまざまな事情により出生届が受理されない無戸籍児について、児童手当、国民健康保険等 の基礎的な保健福祉サービスは、基本的には戸籍や住民票の有無にかかわらず他の子供たち同様に提供されるようになっています。今回、パスポート発給に対しても一定の対応が進められたのはご承知のとおりです。しかし、それぞれの手続においていまだ課題があるのも事実であります。

 さらに、離婚前妊娠により出生した子が前夫の子と推定される問題については、出生証明書など推定を覆す事実が認められれば、再婚後の夫の子としての戸籍の届け出を認めることを検討するよう、既に県として国に提案をしています。

 パスポート発給の弾力化について、知事会として要望していただいたこともありますので、知事会としての取り扱いについては、今後さらに相談していきたいと考えています。

 戸籍と住民票はそれぞれ身分関係と居住関係を証明する公的証書でありますので、住民票の記載に当たっては、戸籍と正確に一致しなければならないなど厳格な取り扱いが基本的になされています。しかしながら、総務省の行政実例によりますと、例外的に、出生児に戸籍の届け出がなされていない子に係る出生届が学齢に達する際に提出された事例について、市町村長が出生届の受理について法務局長の指示を求めている間、戸籍の届け出を行わせるのと同時に住民票の記載を行うこととしても差し支えないとした事例があります。

 こうした取り扱いを一般化することは問題があるかもしれませんが、この事例に該当する事例もあると考えられますので、今後、会議等を通じて県内市町にも周知してまいります。いずれにしても、県民の福祉や人権への配慮の観点から、引き続き国に対して一層の改善を働きかけてまいります。

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15 児童養護施設と里親制度に関する現状と対策について(定例会:H19・6・26)

(井戸まさえ)

 1点目として、児童養護施設、里親制度における被虐待児への対応について伺います。

 厚生労働省では、昭和52年度から5年ごとに養護児童等に関する実態調査を行っています。

 調査初期においては、両親の死亡、行方不明、離別、また長期入院の4つが理由の多くを占めていました。しかし、近年、児童養護施設における子供の入所理由は、虐待を初め多様化しています。また、精神疾患を持つ親の存在も少なくないと言われ、児童養護施設に新たな問題を投げかけています。

 兵庫県児童養護連絡協議会調査によると、本県でも、平成18年3月1日現在の入所理由では、ほかの理由を大きく引き離し、虐待が43.9%でトップになっています。厚生労働省もこの現状を見過ごすわけにはいかず、本年5月10日、親と生活ができない子供たちの受け皿を充実させるため、児童福祉施設や里親などの整備計画の策定を都道府県に求める方針を決定いたしました。来年の通常国会に児童福祉法改正案を提出する予定で、虐待を受けた児童らを対象にしたグループホームの創設なども検討することになっています。

 被虐待児童に対しては、かつての単純養護ではない、専門的なケア体制の整備が急速に求められていますが、一方、入所児童の状況の変化に対して、対応に当たる児童養護施設の職員数の基準は20年以上も変わっておらず、児童6人に1人となっています。

 児童養護施設の場合、24時間体制でケアに当たることを想定すれば、事実上は18人に1人ということになります。施設現場では、日夜、よりよい処遇のための努力がされているにもかかわらず、時代が突きつけるニーズは予想を超える勢いです。ふえ続ける被虐待児に対して、必要性が増していると言われるのが、家庭型ケア環境の提供で、彼らは親や家族に恵まれなかった分、家庭に対する欲求が潜在的に強く、個別に十分な愛情を感じられるケアが必要です。

 アメリカでは、既に1935年から、虐待児には特に1対1のケアが必要ということで、児童養護施設などは廃止され、里親などの個別的養育が基本となっています。また、イギリスを初め、国際的には施設から里親へと政策転換を図っています。

 しかし、兵庫県内の児童養護施設の多くは、定員が50人以上の大舎であり、専門里親等にも協力を求めているものの、今後、より充実した被虐待児への対応が求められます。

 そこで、児童養護施設・里親制度における被虐待児への対策について、県内での現状をどう認識し、今後どのような対策を考えておられるのか、お伺いをいたします。

 2点目は、児童養護施設や里親のもとで育つ子供たちへの経済的支援についてです。

 「希望格差社会」等の著作のある山田昌弘東京学芸大学教授は、自身が東京都の児童福祉審査会委員としての経験を踏まえた中で、以下のような指摘を行っています。

 「児童福祉施設や里親による養育は、高校卒業とともになくなる。1990年ごろまでなら、ほとんどが正社員として就職でき、独身寮がある企業も多かった。今貧しくても将来の生活に希望が持てたのである。しかし、近年、高卒の正社員就職が難しくなり、正社員になっても収入が低かったり、仕事が厳しくやめる者も多い。親の支援が期待できない卒園者は、それだけで生活困難になってしまう。里親の中には、ポケットマネーで元里子の世話をする人までいる。生活困難な若者を放置すれば、中から犯罪すれすれの危ない仕事につく者があらわれたり、将来、人並みの生活を築くという希望を失う若者がふえることも予想される。自立支援施設のような親がわりの施設や、とりあえずの生活保障が必要である」。

 里親には里親手当3万5,000円と生活費4万7,600円が月々支給されますが、対象児が高校卒業時に打ち切られ、必要に応じ2年の延長は可能なものの、その後の援助はとめられます。これは、児童養護施設への入所児でも同じです。入所児童は、卒園するとき、被服費等で7万1,000円、このほかに生活費、住居費として13万7,510円の準備金で社会に巣立たなければなりません。

 山田教授の指摘のように、時代が変わり、親の援助があっても自立が難しい時代に、帰る場所がない、頼るべき親がいない児童養護施設や里子出身者は苦境に立たされます。今後の支援対策が必要です。

 よく知られたことですが、世界に文字どおり革命を起こしたアップルコンピュータ創設者のスティーブ・ジョブズは里子でした。ジョブズ自身も、人間の能力に関しては環境決定主義者と明言しています。

 もしすぐれた里親制度がなかったならば、私たちがパーソナルコンピューターを持つことはもっと先の話だったかもしれませんし、持っていたとしても、今とは違った形だったかもしれません。親が養育不能であると判断された場合、一人でも多くの子供を温かい里親と出会わせることは、行政の何よりの使命であると思うのです。

 私の後輩で、児童養護施設で育ち、その後、茨城県高萩市長となった草間吉夫さんは、幼きころ、近所の子供の親が、子供がいたずらをすると、自分が養育されている児童養護施設を指し、「あの施設に置いてくるよ」というのを聞き、心を痛めたといいます。そして、友人たちにすら施設で育ったことを正直に言うことができなくなり、自分の親が職員だから児童養護施設にいると説明していたそうです。初めて自分の生い立ちを正直に話したのは、プロポーズのときだったと告白しています。しかし、葛藤の中で彼を支え、変えたのは、夏休みごとに受け入れてくれた市長の家での生活と市長みずからの励ましでした。

 海外では、地方自治体のトップや議員の中には実際に里親になる例も多くあります。昨年の決算委員会でもイギリスの施策を紹介いたしましたが、サッチャー政権以来、社会的排除を受ける子供たちが急増し、行刑施設人口の多数を占めるようになったことへの対策として、政権を引き継いだ、あすで退陣になりますが、ブレア首相は、社会的共同親──コーポレートペアレントという発想を示しました。

 日本でも、地域で子供を見守る、社会全体ではぐくむというのはよく言われますが、だれの責任かを明確化せず、あいまいなままです。しかし、ブレア政権では、社会的共同親を具体的に列挙しています。そこに最初に挙げられるのは、施設の施設長や里親ではなく、虐待児の選挙区から選ばれた地方議員であることは、私たち地方議会に集う者に大いなる示唆を与えてくれます。

 つまり、虐待を受け、児童を短期・長期にわたり家族から引き離して、児童養護施設や里親などで養育するという重大かつ困難な決定を一たび自治体が行ったら、その子の福祉の保障と促進は、当然自治体全体の義務となります。その義務を担う先頭に地方議員はいるのです。被虐待児の受け皿をつくる側みずからが彼らの親であるという当事者意識、まさにブレア首相が言う社会的共同親としての自覚を持ったとき、施策の歯車がかみ合うのではないかと思います。

 以上の視点から、今後求められる児童福祉施設や里親などの整備計画の策定への対応を踏まえた上で、そこに育つ子供たちの経済的支援策や自立への支援策についてご所見を伺います。

(井戸知事答弁)

 まず、児童養護施設における被虐待児への対応についてですが、最近、ご指摘のように、被虐待児の入所がふえており、専門的なケアが必要になっています。このため、専門機関への通院・通所による対応のほか、児童養護施設の職員として、県所管施設14施設のうち、被虐待児個別対応職員を全施設に、心理療法士、家庭との総合的な調整を行う家庭支援専門員をおのおの12施設に加配しています。

 県としては、さらに施設機能の改善につながるよう、児童福祉施設最低基準の引き上げを国に要望しているところです。

 また、5施設が小規模グループによるケアを行っていますが、プライバシーに配慮しながら、家庭的雰囲気で生活体験を積めることから、新設の県独自の児童福祉施設整備費の貸付制度等を活用して小規模グループケアの拡大を図っていくこととしています。

 さらに、虐待を受けた子供を家庭において預かる専門里親、現在12組の方々がご協力していただいておりますが、この専門里親の一層の拡充や施設におけるきめ細かな対応を十分に図るため、週末・季節里親等の活用など、地域ぐるみの支援を一層推進してまいりたいと考えています。これにより虐待を受けた子供たちが安心して暮らせるよう取り組んでまいります。

 さて、今後の支援策についてですが、児童養護施設や里親のもとで育つ子供たちが、社会の一員として自立して生活できるようにすることが重要です。施設の入所時のみならず、退所した後もさまざまな課題を乗り越えて社会で主体的に自立していけるよう支援を行う必要があります。

 入所中においては、こども家庭センターと連携しながら、子供ごとに自立支援計画を作成し、毎日の暮らしの充実を図っています。また、就職や進学の際には、学校やハローワーク等と十分な連携や奨学金制度の活用により子供たちの自立を支援しています。さらに、退所後においては、相談相手として施設や里親が実家的な役割を果たしていくこととしておりまして、社会に出ても孤立しない仕組みの充実を図っております。

 このような中で、来年度は、国が社会的養護に関する基本的な指針を定めることにしています。

 県としては、団塊の世代を主なターゲットにした里親制度をもっと普及啓発していきたい、第2に、小規模グループ形態の住居等の整備による家庭的養護を推進していきたい、第3に、就職やアパート等の賃貸に関する身元保証人の確保を図っていくなど、子供たちが自立し、安心して生活が営まれるよう取り組みを検討してまいります。

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16 中学校における学校給食の推進について(定例会:H19・6・26)

(井戸まさえ)

 先日、大阪市教育委員会が同和行政の見直しの一環として、市内の12校だけで実施している中学校給食を来年度以降、順次廃止する方針を決めたことが話題になりました。

 学校給食法は、「義務教育設置者は給食を実施するよう努めなければならない」と、小学校ではもちろん、中学校においての学校給食実施についても定めていますが、大阪市教育委員会は、財政事情から、全校で実施しないということで公平性を保つことにしたというもので、文部科学省は、廃止というのは聞いたことがないとしていますが、努力義務となっている法の難しさを示したものとなりました。

 学校給食の歴史は、1889年に山形県の鶴岡町で始まります。貧困家庭の子供たちを救うために行われたわけですが、平成17年度の児童生徒の食生活等実態調査報告書によると、中学校で給食を全部食べる生徒が平成12年度調査から12.4%激増し40.6%になるなど、飽食の時代にありながらも、格差社会が進行する中で、子供たちの食を守る重要な役割を担っていることが浮き彫りとなっています。

 独立行政法人日本スポーツ振興センターによると、中学校の給食のある日とない日の栄養摂取量充足率の比較では、エネルギー、またすべての栄養素で給食のある日が充足率はまさり、特に給食のない日では、男女ともにカルシウムとビタミンCが、加えて女子ではエネルギーさえ充足すべき率に至らないという結果が出ています。

 そうした中、中学校における学校給食の普及率を見ると、食育推進の取り組みが進んだ県と普及率の高さにも関連性があるのに気がつきます。

 平成17年度の生徒数ベースの全国調査によると、富山県、長野県など9県が100%の普及率です。99.9%の沖縄県を初め、90%以上は18県、つまり47都道府県のうち半数以上は90%以上の普及率であるということです。

 一方、兵庫県は32.2%で、大阪、神奈川、三重の次、下から4番目です。逆に言えば、兵庫県も含む普及停滞地域の現状が全国的に見れば特異でもあるのです。

 本県での普及率20年の推移を見ると、ほとんど変わってきませんでした。ここ2年は、相生市の中学校が、少子化により小学校での給食施設に余裕ができたため中学校での給食を始めたことで、3.5%の伸びを見せました。

 同時期に姫路市がお弁当販売を開始しましたが、この2市における普及についての調査ではおもしろい結果が出ています。

 相生市の調査では、1ヵ月ごとの希望制で、生徒たちは自宅から持参したお弁当か給食かを選べますが、この5月1日現在の給食申し込み率は80%ということでした。

 姫路市のお弁当販売ではこうはいきませんでした。栄養士が考えたメニューは、和食・魚が中心であり、ある関係者は、中学生にとって嫌いなものが入ったコンビニ弁当と称していましたが、申し込みが減る傾向があり、この夏には導入していた中学のうち4校が休止となります。

 神戸市でも、一部の中学校でお弁当の販売が行われていますが、私が実際に試食をさせていただいた神戸市東灘区の本庄中学校では、その日のメニューはサバの塩焼きでしたが、職員も入れた申込数は17食、前日のエビフライカレーは86食でしたから、メニューの好みの差は歴然でした。

 また、4階に教室がある場合、1階の販売所にお弁当を受け取りに来て、また返しに来る手間が面倒だということで、コンビニでおにぎりやパンを買って済ますという生徒も少なくないという指摘もあります。

 また、給食が嫌いという生徒の中には、給食当番が面倒くさいという声もあると聞きました。 学校給食は、栄養をとることもさることながら、食事のマナーや協力等の附属した教育目的があるはずですが、未実施校はその機会を失っているとも言えるのです。

 一方、子育て支援の経済的支援で見れば、給食未実施の地域や実施形態によっては、生徒の家庭が受ける援助に差異が生じるのも大きな問題と指摘されます。

 神戸市におけるお弁当販売の価格は1食400円でした。例えば、6月の登校日21日を掛けると8,400円ともなり、給食費の平均である4,164円の約2倍以上となります。大きな価格差がある上、就学援助を受けている家庭では給食費は免除になっているのに、給食のない自治体に住むと、その援助が受けられないという不公平が生じます。

 つまり、就学援助を受けている生徒は、お弁当販売の神戸市では8,400円を払い、給食のある西宮市では無料という差が出るのです。

 就学費援助受給率の表を見ると、尼崎市が28%、神戸市が24%と県内で最も高い2市が、給食費援助を受けられる学校給食が行われていない現状は深刻です。給食の実施は各自治体ですが、市町立学校の学校給食については、各都道府県は普及・充実を図る責務を担っています。就学援助制度の公平な運用の視点からも、地域差をなくし、また食育を推進するためにも県の役割が求められています。

 こうした観点を踏まえつつ、県内中学校における学校給食の推進への取り組みについて伺います。

(吉本教育長答弁)

 中学校での学校給食の推進への取り組みについてお答え申し上げます。

 学校給食は、食事について正しい理解と望ましい食習慣を養うことや、ともに準備や食事をする ことによる社会性の涵養などを目的に、教育活動の一環として実施をされております。また、小中学校の9年間にわたります体系的、継続的な指導を行いますことは、学校におきます食育を推進するに当たりまして重要な役割を果たしていると考えております。

 一方、学校給食法におきましては、義務教育諸学校の学校給食実施について、学校設置者の努力義務を定めておりますが、本県の場合、小学校では、ほとんどの学校で学校給食が実施をされていますものの、中学校におきましては、地域によって実施状況にかなりの差が生じてございます。

 これは、家庭の手づくり弁当の有用性の議論や、郡部におきましては、既に共同調理場の整備が進められていた中で、中学校への給食拡大が比較的容易であったことに対しまして、都市部では新たな学校給食施設の確保が困難であったことなどが考えられます。

 教育委員会といたしましては、食育への学校給食の活用につきまして、栄養教諭を配置した食育実践校におきまして実践研究を進めますほか、市町教育委員会関係者や教職員に対します研修会の実施等を通じまして、学校給食の重要性について啓発を図っているところでございます。

 今後は、これらの啓発に加えまして、各市町におきます食育推進委員会等の設置を促進し、学校給食を通じた食育の有効性について協議する機会を設けますなど、市町や関係者の理解を深めることを通じ、中学校給食の普及・充実に努めてまいりたいと考えております。

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